ピラビタール

息をこらえて 目を閉じて 夜のふちへ

種差別と合理的な区別

動物愛護、動物保護、動物の権利に関わる議論では、「種差別」という単語が頻出する。そして「種差別」という語の意味するところが人によって異なっていたり、曖昧であったり、感情的に使用されたりするため、議論は時に不毛になる。「種差別」概念を受け入れられないという人は少なくないが、それは語る側の不用意な使用にまったく責任がないわけではない。今回の記事ではその意味するところをできるだけ正確に記述したい。

 

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価値判断の無限連鎖を避ける5つの戦略

学校が始まりました。憂鬱です。あと少しで獣医になれるみたいです。本当になれるんでしょうか。twitterのアカウントを一時削除しましたが、これは一時的なものです。ちょっと集中したいことがあって、時間を奪われてしまうので、一旦削除しただけで、2~3週間で復帰する予定です。驚かせた方、すみません。

 

先月に質問箱に来ていた質問に回答してみたいと思います。おそらく、前回までの3つの記事『「である」と「べき」の断絶その1~3』を読んで頂ければ、よりスムーズに読み進めて頂けるのではないかと思います。ただし、長いです。

「である」と「べき」の断絶 その1

「である」と「べき」の断絶 その2

「である」と「べき」の断絶 その3

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「である」と「べき」の断絶 その3

「である」と「べき」の断絶 その2 のつづき

  

世界保健機構(WHO)によると、大麻マリファナの使用がもたらす健康面への急性の影響として、認知能力の発達や精神運動機能への障害があるという。また、慢性の影響として以下のようなものが挙げられる。認知機能が選択的に損なわれ、時にはそれが恒久的なものになること。大麻への依存。統合失調症の悪化。気管および気管支の上皮傷害。肺炎症。感染症に対する肺の抵抗力の低下。胎児の発達障害と出生時体重の減少。これらは、大麻の使用が道徳的に誤りであることを示している。

(ジュリアン・バッジーニ、ピーター・フォスル〔著〕、長滝祥司、廣瀬覚〔訳〕 『倫理学の道具箱』共立出版、p.189、四・八 「である」と「べし」のギャップ)

 

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「である」と「べき」の断絶 その2

「である」と「べき」の断絶 その1 のつづき

 

『講座 あにまるえしっくす』第5回では、人間の道徳的地位の特権性や種差別を、事実判断を根拠に正当化しようとする推論について、反論を行う予定である。我々が反論すべきこの推論は、事実判断のみを前提として、結論に倫理的価値判断を導こうとする構造をもっている。

 

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「である」と「べき」の断絶 その1

ゆび子さんの労力によって、先日『講座 あにまるえしっくす』第4回「人間はそんなに特別なのか?」とコラム2「#トランス女性は女性です」を公開することができました。そしてコラム2では、「事実判断から価値判断を導く」という議論の問題について第5回で扱うと予告しました。ヒュームの法則に言及し、「事実判断のみから価値判断を導くことはできない」、あるいは「それは演繹的に妥当な推論ではない」ということを論じるつもりです。アイデアを整理するために、ここにまとめておきます。

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