ピラビタール

息をこらえて 目を閉じて 夜のふちへ

昨日の記事への追記

昨日の記事 「猫にヴィーガン食を与えるべきではない」という判断について が賛同・批判を含め思いのほか反響がありました。いくつかの誤解が生じていたようなので、その説明を含めて、補足的に追記します。

 

まず私は、猫をヴィーガン食で飼養することの是非について、記事内では極力言及を避けています。それは、私が最新の調査・研究をフォローできていないためです*1

 

昨夜の記事のテーマはそこではなく、「猫をヴィーガン食で飼養するなんてとんでもない」と憤る人たちが、他の動物に対してはどのような態度でいるのかを明らかにすることが狙いでした。「猫にヴィーガン食を与えるべきではない」という主張には確かに栄養学的な根拠があります。しかし、猫についてはその「本来の食性」をことさら重視していながら、牛や豚や鶏の「本来の食性」に彼らがどれだけ無関心なことでしょう。猫へのヴィーガン食の給餌を「虐待だ」とまで非難するアンチヴィーガンの人たちが、食用にされる動物に対する虐待に等しい飼養に無関心であること、そのダブルスタンダードの指摘が、昨日の記事の趣旨でございます*2

 

私は、以下のぶめすさんの発言に強く賛同します。

 

 

質問箱に寄せられていた質問に回答致します。今後、回答が長くなりそうな質問に対しては、ブログ記事にて回答したく思います。(未回答の質問が貯まっています。待たせている人、ごめんなさい)

 

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まず、私が「家畜の不適切な飼養管理を糾弾」しているというのは、半分正しく、半分間違っています。確かにウシやブタの悲惨な飼養を私は許容できませんが、その飼養方法が著しく改善したとしても、つまりアニマルウェルフェアに十分に配慮された飼養管理へと移行したとしても、やはり許容できるとは思われません。

 

ですので昨日の記事で最後の方に書いた「そうした飼養管理を経て生産された肉や鶏卵や牛乳は、購入を控えるべき」という記述は、誤解を招くものだったかもしれません。これだと、「自然放牧で健康的に過ごしている乳牛から絞った牛乳を買いなさい」「放し飼いにされた鶏の卵を購入しなさい」と訴えているように読めてしまうからです。しかし、それは私の本意ではありません。

 

とはいえ、「人道的に飼養された家畜でもダメ」という主張はかなり反発を呼ぶもので、ここに書くとまた長くなってしまうと思いますので、日を改めて論じたく思います。今日はこのへんで勘弁して下さい。

 

(少なくとも現在)猫の栄養要求を満たすことが可能か不明なヴィーガン食を猫に与えることは不適切であると思うのが自然な流れではないですか?」についてですが、下の脚注にも書いてある通り、「現時点では積極的に支持はできない」というのが私の立場です。ただ同時にヴィーガンのキャットフードが開発されている旨の記事も最近よく見かけ、期待しつ注視しているというのが現状での回答になります。

*1:改めて明記しておくと、私は「現状の知識では積極的に支持はできない」という立場です。しかしながら、昨夜の記事でも触れた通り、植物由来のフードでも問題ないという証拠が蓄積しつつあるようです。たとえば、Vegetarian versus Meat-Based Diets for Companion Animals

*2:もちろん、肉食者の誰もが家畜の福祉に無関心であるとは思っていません。家畜の福祉に関心をもち、改善を図る人々が肉食者の中にも一定数いることを理解しています。