社民党にメールを送ってから1ヶ月が過ぎました
先月、社民党の吉川元議員と社民党宛てにメールを送りました。送ってから1ヶ月とちょっと過ぎたのですが、返事は来ません。まぁ来ませんよね。残念ですが、こんな一学生に返事を送るほど国会議員の方は暇ではないのでしょう。
メールの内容は、先月11月15日に開かれた衆議院の文部科学委員会において、吉川元議員が発言した獣医学部の実習についてです。
17分40秒ごろから
「第二次の審査の際に、獣医解剖学実習について、牛の解剖がないと、これは一体どういうことなんですか」
20分50秒頃から
「シミュレーションで済むんですか」
「お医者さんは人体解剖せずに手術してもいいってことですかそれは」
という発言があります。
吉川議員によれば、獣医学部で実際の動物を使った解剖実習が行われないのは論外だということらしいです。吉川議員のこの指摘に対して、獣医学部で実際に動物を使わないなんてとんでもないことだと同調する人をtwitterで多数目にしました。
しかしながら、獣医学教育に本当に動物の犠牲が必要でしょうか。本当にシミュレーションではダメなのでしょうか。獣医師になるのに、本当に動物の命を奪う必要があるのでしょうか。吉川議員は、医学部の人体解剖と対比させましたが、医学部の解剖実習で人の命を奪うことはありません。
実際に、イギリスをはじめとし、アメリカ、カナダ、オーストラリアでは、動物を用いない代替法による教育が行われ、動物を1匹も殺さずに獣医になることができる獣医大学ができています。加計学園問題は別にして、動物を犠牲にすることは獣医学教育で必須ではないのです。そのことを伝えなければと思って、メールを送りました。(ちなみにtwitterでは心ない人から「そのコメントはいらんわ 馬鹿なの?」と罵られました。「加計学園問題が渦中の時に代替云々の話をするな」ということらしいです。)
獣医学生です。家計学園の件とは無関係のコメントとして聞いて下さい。動物を犠牲にしない獣医学教育は可能であり、また目指すべきと思っています。米国、英国、オーストラリアなどの獣医学校では動物を傷つけない代替法が実施されています。シミュレーション自体は馬鹿げたものではありません。 https://t.co/bfgQIA5X4z
— 苗野 (@naeno0920) 2017年11月16日
獣医学生です。加計学園問題とは別件のコメントとして聞いて下さい。シミュレーションは動物を犠牲にしない代替法として利用される獣医学教育であり、それ自体は馬鹿げたものではありません。実際に、米国、英国、オーストラリアなどの獣医学校では、動物を傷つけない獣医学教育が実施されています。 https://t.co/HKAVEF64eV
— 苗野 (@naeno0920) 2017年11月17日
以下、メールの全文を載せます。
苗野の個人情報につながる部分だけ修正・削除しました。
社民党・吉川元議員さま
はじめまして。私は××大学で獣医学を学ぶ大学2年生の苗野と申します。
唐突にメールを送付するご無礼をお許し下さい。
11月15日の国会中継(衆議院、文部科学委員会)を拝見致しました。その中で吉川議員が答弁で発言されましたいくつかの点が気になりました。
「第二次の審査の際に、獣医解剖学実習について、牛の解剖がないと、これは一体どういうことなんですか」
「シミュレーションで済むんですか」
「お医者さんは人体解剖せずに手術してもいいってことですかそれは」
私は加計学園認可の不正疑惑は徹底的に追及すべきだと思います。社民党並びに吉川議員のことは応援しております。しかし、上の発言は動物福祉の観点から言って、極めて不適切であったと思うのです。
これはあくまでも加計学園の件とは別件の問題として聞いて下さい。動物を犠牲にしない獣医学教育は可能であり、また目指すべきであると私たちは思っています。米国、英国、オーストラリアなどの多くの獣医学校では動物を傷つけない代替法が実施されています。
「動物を傷つけない代替法」とは
1.コンピュータ・シミュレーション
2.モデル・マネキン
3.視聴覚教材
等々を使用するものです。
これらはしっかりとした実習です。こうした代替法で、卒業まで1頭も動物を傷つけずに学び、立派な臨床獣医師を輩出している大学が海外にはたくさんあります。
もちろん日本ではまだ実現は難しく、ずっと先の話になるのだと思います。まずは、多くの市民に、獣医学教育に動物の犠牲は必要なく、動物を傷つけることなく獣医師になることができるのだということを知ってもらうことが実現への第一歩です。
しかし、先日の吉川議員の上記の発言は、残念ながら、「生体解剖がなければ高い水準の獣医師を養成できない」といった誤解を多くの人に与えてしまいました。「解剖実習をシミュレーションで行うなんてやっぱり加計学園はとんでもない」といった論調のコメントを、twitter上でたくさん目にしました。しかし、とんでもないのは加計学園のカリキュラムであって、シミュレーション自体は決して悪くないのです。
他ならぬ私たち自身が、獣医学教育からの動物犠牲の全廃を願っております。どうかシミュレーションでは獣医学教育が十分にできないかのような誤解を解いて頂きたく思います。Twitterなどで、その旨、不適切な発言だったことを発信し、訂正して頂けませんでしょうか?
そして、できることならば、動物福祉の向上のためにも、お力添えを頂ければ大変うれしく思います。
最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。
××大学 獣医学部2年
苗野
以下、海外のシミュレーション実習の動画を少し載せます。
見た目はとても縫いぐるみには見えないほど精巧なもの。血まで出るもの。
何度も繰り返し練習できることもシミュレーションの利点です。
多くの方にこのような動画を見てもらえれば、
Canine Dental Surgery Simulator - YouTube
Lab allows veterinary students practice before work with live animals - Virginia Tech - YouTube
The SynDaver Synthetic Canine - YouTube
World's First High-fidelity Patient Simulator - YouTube